」」
魔女。
なかなかにロマン溢れる言葉です。魔女という存在は、皆の想像力をかきたててくれます。
現代でもハリー〇ッター等の魔法使い・魔女をモチーフにした話や作品が大量に作られているほど今なお愛されている魔女。
イメージ的にはヨボヨボの老婆がふちの広い帽子かぶって、大きな鍋でいかにも怪しい「何か」を煮ている・・・もしくは調合している・・・いやいや、リアルタイムで魔法を使っている・・・。
そんな印象になるキッカケとなったのが古代ギリシャ神話に登場する魔女キルケ―です。
という訳で、今から彼女の魅力を探っていきましょう。
キルケ―は太陽神ヘリオスとオーケアノスの娘であり、魔術と薬学に優れた美しい半神の魔女です。いわば美人。彼女は月の女神または愛の女神とも考えられています。アルテミス・アフロディテと被るような気もしますが半神なので大丈夫でしょう。
キルケーはその美貌と歌声で男性を虜にし、好みの男性を連れ帰り、弄んだ後に動物や魔物に変えてペットとして飼いならしていました。
キルケーの伝説は、古代ギリシャの詩人ホメーロスの作品『オデュッセイア』に詳細に描かれています。主人公のオデュッセウスと彼の仲間たちは、彼らの航海中にアイアイエー島に流れ着きました。そこで彼らはキルケーの屋敷にたどり着きます。
キルケーは彼らを歓迎し、彼女の美しい歌声で彼らを魅了します。しかし、彼女は彼らに恐ろしい薬の入った飲み物を勧めます。その薬を飲んだ一行は、なんとキルケーの魔法によって獣の姿に変えられてしまいます。しかし、オデュッセウスはヘルメス神から授かった特別な薬を持っていたため、キルケーの魔法によって変わらず、彼の仲間たちを元の姿に戻すことに成功します。
キルケーは彼らの勇敢さに感銘を受け、オデュッセウスを愛し、一年間も彼と彼の仲間たちを歓待します。最終的には彼らが帰還を望むことを理解し、彼らに帰る道を教えると共に見送ります。
ちなみに、キルケ―の兄弟アイエーテースの娘はギリシャ神話で有名な「魔女メーデイア」であり、要は姪っ子なのですが、このメーデイアはギリシャ神話最強の魔女とも言われています。
キルケ― = トップクラスの魔女(叔母)
メーデイア = ずば抜けて最強の魔女(姪)
なので、かなり魔術に強い家系だということです。
キルケーの魔力は彼女の持つ薬草によって象徴されます。彼女は特別な薬を調合し、それを人間を動物や魔物に変えるために使用していました。この薬の正体や成分については詳細が明かされていませんが、
キルケ―の調合する薬は超強力
で、人間を狼・ライオン・豚に変えるなど、侮れない実力であることは確実です。
キルケーの持つ薬草は、古代ギリシャ人が魔法や不思議な力を持つ薬を知っていたことを示しています。これらの薬草は、神秘的な力を持ち、人間を変えることができると信じられていました。キルケーの魔力を通じて、古代ギリシャの人々は魔法の存在を実感し、それが後のヨーロッパにおける魔女像の形成にも影響を与えたのかもしれません。
現代日本では、魔女のイメージはホウキに乗って空飛んでるか、鍋で薬を煮てるか・・・といった感じですが、この「鍋で薬調合して悪さする」魔女像はキルケ―が由来だったのです。
改めて、魔女キルケ―はギリシャ神話に(割と頻繁に)出てくる美しい魔女です。彼女の魔力や謎めいた存在は多くの人を魅了し続けています。
キルケーの物語は、古代ギリシャの神話の中でも特に魅力的な要素を持っており、彼女の存在は古代ギリシャの文化において重要な役割を果たしていたことがわかります。
もし今後水晶玉をのぞいたり、ハロウィンで魔女のコスプレ仮装している人を見たり、タロットカード占いしている人を見かけたりしたら、
「あ、魔女だ。キルケ―がモデルになってるんだよな」
と、魔女の元祖キルケ―(できればメーデイアも)に思いをはせてみてください。